腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、腰の脊柱管(神経の通り道)が狭くなり、神経が圧迫されることで足のしびれや痛みが起こる病気です。高齢者に多くみられる、代表的な腰の疾患です。


主な症状

  • 歩くと足がしびれる・痛む(間欠性跛行)
    少し歩くと足がつらくなり、休むとまた歩けるようになります
    • 腰椎を丸めると改善し、反らすと悪くなることが特徴です
    • 自転車では症状がない方が多いです
  • 足のしびれ・脱力感
    両足や片足にしびれや力の入りにくさを感じることがあります
    • 圧迫に形態により馬尾型、神経根型、混合型に分けられます
    • 馬尾型:両足の全体的な症状(しびれ、筋力低下) 排尿排便障害
    • 神経根型:どちらか一方の限られた範囲の症状(しびれ、疼痛、筋力低下)
  • 腰痛やお尻の痛み
    長時間の立位や歩行で悪化し、前かがみになると楽になります
  • 重症の場合は、排尿・排便障害が起こることもあります

好発年齢・性別

  • 好発年齢:60歳以上
  • 性別:男女ともに起こるが、やや男性に多い傾向

原因とリスク因子

  • 加齢による変化(椎間板の変性、骨の変形、靱帯の肥厚)
  • 腰椎すべり症や側弯症の合併
  • 過去の腰のけがや手術歴
  • 遺伝的要因や体格的特徴も関与することがあります

好発部位

  • 腰椎の第4・5番目(L4/L5)第5腰椎と仙骨の間(L5/S1)付近で多く発生します

診断方法

  • 症状や身体診察
  • 腰椎レントゲン、MRIやCTによる画像検査で脊柱管の狭窄の程度や神経の圧迫状態を確認

治療

1. 保存療法(軽症〜中等症)

  • 薬物治療(消炎鎮痛薬、神経痛薬、漢方薬など)
  • 運動療法やストレッチ
  • 神経ブロック注射(痛みが強いとき)
  • 7-8割の方は3-6ヶ月程度の保存治療で症状は緩和します

2. 手術療法(重症例や保存療法で改善しない場合)

  • 狭くなった脊柱管を広げて神経の圧迫を取り除く手術(除圧術)
    • 施設によっては内視鏡(MEL,BESS,FESSなど)や顕微鏡による小侵襲手術で行えます
  • 背骨の不安定性がある場合は固定術を追加
    • 患者さん個別により方法が判断されます
    • 固定術を行う際は金属製のスクリューなどを用いますが、術後もMRIの撮影や飛行機にのることは可能です。骨癒合が得られるまでの3-6ヶ月は手術部に負担をかけないような生活が必要となります。

日常生活での注意点・予防

  • 正しい姿勢を保つ
  • 適度な運動で体幹の筋力を維持する
  • 長時間の立位や歩行を避け、こまめに休憩をとる
  • 体重管理を行い、腰への負担を減らす

足のしびれや歩行困難が続く場合は、早めに専門医の診察を受けましょう。